電気工事において配線、配管とともに重要な作業に通線作業があります。
通線作業は、文字通りケーブルを配管などに通す作業のことを言います。
コンクリート埋設管や地中埋設管、露出配管などを施して、完成した配管内にケーブルを通すのですが、直接ケーブルを押し込んでも通りません。
こんなことは、書かなくても私のサイトをご覧のみなさまの大半は、電気工事を生業としているのでしょうから、お解かりだと思います。
直接押し込んでも通らないケーブルを通すのに用いるのが、各種の通線工具ということですが、一番に思いつくのは、タイガーラインなどに代表される通線工具でしょう。
一般的に電気工事業者間の呼び名は、「スチール」と呼ばれています。
昔は、鉄線をラインなどの呼び線代わりに通したことから、こう呼ばれるようになったと聞いた覚えがありますが、定かではありませんが、電気工事士なら、この呼び名で言うと通線用ラインだなと理解してくれます。
IVなどの細いケーブルくらいなら、このラインに括りつけて引っ張れば通りますが、幹線ケーブルのように太くて固いものになるとこれでは引っ張れないので、ロープを通してアミソ(ケーブルグリップ)を用いてケーブルを通すことになりるのですが、通線オイルを用いて滑りを良くしながら、力を合わせて引っ張ります。
それでも通らないときは、ウインチを設置して引っ張ることになります。
以前、他の電気屋さんが地中埋設配管をしたものに、CVT150を入線したことがあるのですが、この埋設管がフラットに埋設されておらず、上下左右に蛇行していたため、ウインチでも通らず、最終的にユンボで引っ張ったことがありました。
こんな方法は邪道でしょうが、背に腹は変えられなかったので、何とか幹線ケーブルを通すことに成功しましたが、これが高圧ケーブルだったら、おそらく耐圧試験に耐えられなかったでしょう。
通線工具も大事ですが、それより大切なのは、キッチリした埋設配管の施工だということです。
基本に忠実に確実な施工を行っておけば、いかに太いケーブルであってもユンボで引っ張るような邪道な方法はとらなくてよかったからです。
埋設配管が、基本どおりにキッチリ施工されているという前提で、これから紹介する通線工具をご覧ください。