埋設配管をしながら同時に行うのが、埋設管の固定作業です。
埋設管をある程度固定しないと、コンクリート打設時の流し込みの圧力で埋設配管が移動して埋設管に余計な力が加わり、コネクタから外れたり、酷いときには、ボックスが動いてボックス内にコンクリートが浸入して使い物にならなくなる可能性があるので、そんなことにならないように、ある程度固定しておく必要があります。
また、コンクリート打設後にダイヤモンドコアなどを使って貫通作業が行われるときに配管系統図の提示を求められることがあるので、ある程度確実な経路を示す必要があります。
このようなときに、埋設配管がどこを通っているのか把握していないと、貫通作業中に埋設配管が切断されるトラブルが発生します。
仮に埋設配管が切断されるトラブルが発生すると、その復旧作業のために、余計な作業を強いられることになり、無駄な時間と経費を使わなくてはならなくなります。
もちろんその分の経費を徴収できればいいのですが、多くの場合そんな経を徴収することは出来ません。
それどころか、
「系統図と違うところに入っていたのだから、手待ちになった分をどうしてくれるんだ」
と逆に請求されることになるかもしれません。
なので、電気のコンクリート埋設配管の固定はとても大切な作業なのです。
私は、手早く安価に出来る従来の方法が一番だと考えています。
確かに、簡単に配管を固定する優れた部材もあるのですが、従来の方法に比べてかなりのコストアップになるので、実際の現場で使われているとは思えません。
今でも、知り合いに頼まれていろいろな現場に建込み配管やスラブ配管の応援に行きますが、どの現場でも見たことが無いというのが私のこれまでの実感です。
これから紹介する埋設配管固定具をみて、判断してください。
まずは、従来の埋設管の固定方法に必要なものを紹介しておきます。
未来工業(MIRAI) 結束線 CB-B
未来の結束線を紹介したけど、実際は市販の鉄バインドを使っています。 |
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紹介した未来工業のCDバインドも使っている結束線は、市販の鉄バインドとほとんど同じものだと考えられるので、わざわざ高いものを使う必要はないと考えて、市販の鉄バインドを必要な長さで切断して、埋設管の固定に使っています。
鉄筋用の結束線でもいいのですが、細すぎて切れやすいのと埋設管を傷つける可能性があるので私は使いませんが、多くの現場で使っているところを見かけます。
この結束線で埋設配管やスタットバーを固定するのに使うのが、鉄筋屋が使っているハッカーです。
NICE(ナイス) 角先長ハッカー 215
鉄筋屋が使ってるハッカーと同です。 |
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おそらく、全国で日々電気工事を行っている人の多くが、結束線とハッカーを使っていると思いますが、中には未だに鉄筋結束用の細い結束線を使っている人もいるようです。
鉄筋用の細い結束専線では、埋設管を傷つける危険性があるので、出来れば電材メーカーから販売されている結束線を使うか、私のように鉄バインドを使うほうが、より安全だと思うので、鉄バインドも紹介しておきます。
鉄ソフトバインド線0.9mm BGV-JB
鉄バインドをこのまま使うのではなく、手にしてすぐ梱包された状態で半分に切断して使います。
こうすることで、未来工業から販売されている結束線と同程度の長さのものが、二組出来上がるし、長さもあまり変わらないので、使いやすくなります。
なにより、得られる本数が比べ物にならないくらい多いので、かなりの経費節減につながります。
さらに、この使い方なら埋設配管工事だけでなく、通常の電気工事でも配管の仮固定や配線ケーブルの固定にも使うことが出来るので、仮に余ったとしても無駄にはなりません。
次に紹介するのは、埋設配管保護用のものですが、私は使うことがないので、良いのか悪いのかの判断はできないので、後はレビューやカタログを参考にして、判断してください。
パナソニックのプロテクターですが個人的には、まったく必要ないものだと思っています。
わざわざこんなものを使わなくても、埋設配管に負担がかかりそうなところは、鉄筋スペーサーを使って、鉄筋を固定するほうが、ずっと効率的で確実だと思うからです。
パナソニックのプロテクターは、1本に一つずる取付けなくてはならず、かなり手間のかかる作業になりますが、スラブ筋スペーサーなら配管が通っている範囲の両サイドを固定すれば、複数を一度にカバーできるので、そのほうが効率的だと思います。
スラブ配管の時に見かける鉄筋スペーサー(通称 タワー)です。
電気工事では、配管が潰れそうなところを保護するのに使いますが、使うときはコンクリートの仕上がり高さを確認して、最適な高さのスペーサーを使わないとコンクリートの被りが少なくなり、後々問題になる可能性があるので、注意して使うようにしなくてはなりません。